2000年に東海大学と明治乳業などの研究グループが、ある乳酸菌の中にピロリ菌を減らす作用があることを突きとめ、それによると29人のピロリ菌患者に一日二回、8週間の間、「LG21」という乳酸菌をとりあわせたヨーグルト90gを食べてもらう実験を行った結果、26人にピロリ菌の減少が見られ、3人に消失が確認された。
また胃粘膜の荒れが良くなったことや、さらに6人に内視鏡検査をしたところ、菌が1/10~1/100に減っていたことも報告されている。
この「LG21」のヨーグルトは手軽にどこでも買えるし、健康的な食品でもあるのでおすすめである。他にも、まだ研究は深くまで進んではいないが梅肉エキスにもピロリ菌を抑える効果があることがわかっている。これは未完熟の青梅をトロトロになるまで煮溶かしてできるもので、梅干とは違うものである。
これは厚生労働省研究班の大規模な追跡調査でわかったとされ、この研究班は、除菌しても胃癌を防げるかは明確でないとし、禁煙や食事での減塩、胃癌検診の受診を推進している。研究班は1990年と93年に全国の40~69歳の男女3万7000人から採血し、ピロリ菌の感染の有無や、体内の菌の毒素について調査した。
その結果、04年までに512人が胃癌になっており、調査時にピロリ菌感染が確認された人は、確認されなかった人に比べ5.1倍の率で胃癌になっており、さらに調査時に感染は確認されなかったが、過去の感染の影響であろう菌の毒素がみられた人も、ピロリ菌に感染していた人と合わせてみると、どちらもなかった人の10.2倍の率で胃癌になっていたそうだ。
これは、菌の影響で胃の粘膜が炎症を起こして萎縮し、がんになりやすくなるというわけらしい。ただ、菌に感染したことがある人は調査対象の約94%と考えられ、胃癌になるのはそれの一部だという。
まずひとつは、内視鏡、いわゆる胃カメラによって検査する方法で、これは胃カメラを飲んだ際に胃の小さな組織を取ってきて、それを顕微鏡で見たり、菌を人工的に発育させたり、薬によって調べたりして検査をする。
そしてふたつ目は、内視鏡を利用せずにピロリ菌を検査する方法である。これには主に、血液や尿の成分検査、便の検査、尿素呼気試験(UBT)による検査の3つがあり、なかでもこの尿素呼気試験(UBT)が普及しつつある。これは、試験薬を飲んでその後に吐く息によってピロリ菌の感染の有無を検査するという方法である。非常に簡単な検査方法であるし、この検査ではピロリ菌の存在がより正確にわかるので、とても優れた方法である。ピロリ菌の検査をする場合は、医師とよく相談して自分に最適な検査方法を決めること。
ピロリ菌は乳幼児の頃の免疫力が弱い時に感染しやすく、衛生環境がよくないと感染する確率が高くなる。今の高齢者は、戦時中や戦後などの衛生状態が悪いときに乳幼児期を過ごした人が多く、そこでピロリ菌に感染したとされている。
ピロリ菌に感染している人は、戦後すぐの衛生環境が整っていない時代に生まれた世代やその数年の間に生まれた現在50代以上のうちでは70~80%ほどの割合で存在しているといわれている。それより若い世代になればなるほど感染している人は少なくなるが、全体では日本人の2人に1人はピロリ菌に感染していると言える。
ピロリ菌はいったん感染すると胃の中にずっと持ち続け、高齢になり体が衰えてくるころにさまざまな障害をひきおこす。
なぜこの方法を行わないほうがよいのかというと、副作用もそうだが、除菌に失敗してしまった場合に耐性菌、つまり抗生物質で除菌されないピロリ菌が新たにできるおそれがあるからである。抗生物質の投与によってピロリ菌の除菌ができる人はおよそ9割といわれており、すなわち残りの1割の人はピロリ菌の除菌ができない。